第4回開催報告_「地域のインフラ(商業・公共施設)」から考える、2040年の福知山のくらし
私たちLiquitousは、デジタル技術と市民参加の仕組みを活かし、地域とともに「声がまちをつくる」プロセスを支える会社です。
福知山市と連携し、「福知山市2040年市民会議」の設計・運営、そしてオンライン意見募集プラットフォーム『2040 くらしのスケッチ』の活用を支援しています。
2025年12月21日、第4回となる「福知山市2040年市民会議」を開催しました。
今回のテーマは 「地域のインフラ(商業・公共施設)」。
人口減少や高齢化が進むなかで、これからの福知山にとって、どのような公共施設や商業のあり方が“支え”になるのかを、市民の視点から考える回となりました。
市からの説明
福知山市における公共施設マネジメントの現状
会議の冒頭では、福知山市 総務部 資産活用課より、公共施設マネジメントの現状と課題について説明がありました。

福知山市では、市民一人あたりの公共施設保有量が全国平均の約1.5倍にあたる約5.9㎡となっており、その約7割が築30年以上という状況にあります。一方で、人口は2040年にかけて約1万人減少する見通しであり、財政的にも、現在保有しているすべての施設を将来にわたって維持し続けることは困難であることが示されました。
そのため市では、「選択と集中」を基本方針とした公共施設マネジメントに取り組んでおり、
・施設の統廃合や複合化
・廃校の民間活用
・PPP(公民連携)の活用
・市民協働によるまちづくり
といった施策を進めてきました。
特に廃校活用については、16校の廃校のうち約6割で活用が進んでおり、歳出削減だけでなく、雇用創出や関係人口の増加といった効果も生まれていることが共有されました。
講演①
「困っている」が原動力 ― 無印良品 酒田の挑戦
齋藤 徹平さん(株式会社良品計画 無印良品 酒田 店長)
最初の講演では、山形県酒田市における無印良品の取り組みについて、無印良品 酒田店長の齋藤徹平さんよりお話しいただきました。
酒田市は人口約9万人の地方都市で、中心市街地以外での移動課題や買い物弱者の増加など、福知山と共通する課題も見受けられます。そうした中で無印良品 酒田は、単なる大型店舗としてではなく、「地域の困りごとに商いの力で向き合う拠点」として位置づけられてきました。
齋藤さんが繰り返し強調されたのは、「困っている」という実感こそが、取り組みの出発点であるということです。
・中山間地域での移動販売
・コミュニティセンターのリノベーション
・医療・福祉・学校と連携したイベント
・店舗を“第三の居場所”として開く試み
これらはすべて、「企業が地域を支援する」という一方向の関係ではなく、市民・行政・民間がそれぞれ“自分ごと”として関わることによって成立してきました。
【資料ダウンロード】
https://drive.google.com/file/d/1Xsf0E8FJAy74Yqw7Xw6dDtxt0oQFzYTH/view?usp=sharing
講演②
公共施設マネジメントのすゝめ
七野 司さん(大阪府貝塚市 公共施設マネジメント室長)
続く講演では、大阪府貝塚市 公共施設マネジメント室長の七野司さんより、公共施設マネジメントの考え方と実践についてお話しいただきました。
七野さんは建築技術職としての経験を背景に、貝塚市において公共施設の老朽化や財政制約に向き合いながら、官民連携や広域連携を進めてきた実践者です。
講演では、
・公共施設マネジメントは「削減の話」ではなく「未来への投資の話」であること
・行政単独ではなく、民間や他自治体と役割を分かち合う必要性
・「群マネ(インフラ群再生マネジメント)」による広域連携の可能性
などが紹介されました。
特に印象的だったのは、「公共施設は誰のために、何のためにあるのか」という問いです。
施設は単なる箱ではなく、「地域の皆さんの安全・安心な財産として、地域に還すもの」であるというメッセージは、多くの参加者の心に残りました。
【事務局注】
・公共施設マネジメント:学校や庁舎、文化施設などの公共施設を対象に、将来の人口動向や財政状況を踏まえ、保有量の最適化や更新・長寿命化、再配置を計画的に進める取組です。持続可能な公共サービスの提供を目的としています。
・群マネ(インフラ群再生マネジメント):自治体間の広域連携を前提に、複数のインフラ施設を「群」として一体的に捉え、更新・維持管理・再編を進める考え方です。単独自治体での対応が難しい課題に対し、長期的視点で財政負担や人材を共有し、持続可能なインフラ運営を実現します。
【資料ダウンロード】https://drive.google.com/file/d/1HJ2xe_sMDmXaHyUuokwBWVBkRejSvF0H/view?usp=sharing
講演を受けて
「官・民・市民」が重なり合うインフラの姿
2つの講演に共通していたのは、官・民・市民の役割を固定しないという視点でした。
・行政がすべてを担うのでもない
・民間に丸投げするのでもない
・市民が“意見を言うだけ”で終わらない
それぞれができることを持ち寄り、小さく始め、試行錯誤しながら続けていく。その積み重ねが、結果として地域インフラを支えていく、という考え方が共有されました。
全体ディスカッション
「ビジョンの大枠」をめぐる意見交換
後半では、これまでの市民会議やオンラインプラットフォーム「2040 くらしのスケッチ」に寄せられた意見をAIで分析・整理した資料をもとに、「ビジョンの大枠」についてグループごとに意見交換を行いました。


参加者からは、
・「ここは納得できる」
・「この視点が足りないのでは」
・「2040年のくらしとして、もっとこうなってほしい」
といった率直な意見が交わされました。
特に、移動手段、健康、買い物、公共施設の使われ方といった、日常に直結するテーマについて、多様な世代の視点が交差する時間となりました。
アンケート結果より
当日のアンケート(回答者29名)では、
・会議全体について「良かった」「とても良かった」が約8割
・講演①(無印良品 酒田)は特に評価が高い
・講演②(公共施設マネジメント)は「難しかったが学びが多い」という声
が寄せられました。
一方で、
・音声が聞き取りにくい
・進行がやや早い
・会議の目的が分かりにくい
といった改善点も多く挙げられています。
これらの声は、次回以降の市民会議の運営にしっかりと反映していきます。
まとめ
「地域のインフラ」を“自分ごと”として考える
第4回市民会議では、商業施設や公共施設といった「地域のインフラ」を、単なる設備や制度としてではなく、暮らしを支える関係性の集合体として捉え直す視点が共有されました。
2040年の福知山を形づくるのは、誰か一人の正解ではなく、
一人ひとりが「自分のくらし」として考え、関わるプロセスそのものです。
次回・第5回では、これまでの議論を踏まえた「ビジョン案」をもとに、さらに議論を深めていく予定です。
オンラインプラットフォーム「2040 くらしのスケッチ」でも、引き続きご意見をお待ちしています。
