福知山市2040 年市民会議

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第2回開催報告_人口減少社会を生き抜く「新しい地域のあり方」とは?

私たちLiquitousは、デジタル技術と市民参加の仕組みを活かし、地域とともに「声がまちをつくる」プロセスを支える会社です。

福知山市と連携し、「福知山市2040年市民会議」の設計・運営、そしてオンライン意見募集プラットフォーム『2040 くらしのスケッチ』の活用を支援しております。

先日、約100人の市民が参画する「福知山市2040年市民会議」の第2回が開催されました。

「さまざまな地域課題がある中で、福知山に住む私たちが、生き生きと暮らし続けるにはどうすればいいのだろう?」

今回の市民会議では、この問いに答えるヒントを得るため、地域活性化の専門家である小柴 徳明さんと安岡 周総さんの2名のゲストスピーカーをお招きし、ご講演いただきました。

ゲストスピーカー プロフィール

小柴 徳明さん:富山県黒部市を拠点に、約20年にわたる福祉分野での経験を持つ専門家。現在は一般社団法人コミュニティドライブの代表理事を務め、行政だけでなく住民や民間も巻き込んだ新しい福祉の形を追求しています。

安岡 周総さん:元高知県日高村職員として、地域のDX推進や地域商社設立・運営支援に携わってきたエキスパート。現在はえれ株式会社の代表取締役や、地域おこし協力隊アドバイザーを務め、全国各地で地域活性化のために精力的に取り組んでいます。

本記事では、お二人の講演内容をハイライトとしてお届けします。

また、本ブログを読んだ感想や意見を以下のリンクから書きこめます。ぜひ皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

(リンク:https://fukuchiyama-city.liqlid.jp/space2040meeting/idealist-bzvye75w8u

小柴 徳明さんのご講演

(小柴さんの講演資料はこちらから閲覧できます:https://drive.google.com/file/d/1Qju4a8wGF3ON6bs-lPhEgCeaF3tNxqKw/view?usp=sharing)

小柴さんには主に、「自分たちのまちは自分たちで良くしていく」についてお話しいただきました。

「人口減少」は現象。「困りごと」こそが本当の課題

小柴さんはまず、地域課題をどう捉えるべきかについて、重要な視点を提供してくださいました。

私たちが「地域の課題だ」と感じる人口減少は、実は「現象」に過ぎません。その結果として起きる「公共交通がなくなる」「買い物する場所が減る」「子どもの見守りが難しくなる」といった具体的な「困りごと」こそが、私たちが本当に向き合うべき「課題」だというのです。

この「現象」と「課題」を切り分けることで、私たちは「誰が」「どこで」「どんなことに」困っているのかを明確にすることができます。

行政任せにしない!みんなで支え合う「新しい仕組み」

では、これらの課題を解決するために、私たちは具体的に何をすれば良いのでしょうか?

小柴さんは、「住民が主役となり、行政・専門家・民間が連携して支え合う体制づくり」が不可欠だと語りました。行政の対応は、どうしても全体をカバーする均一的なものになりがちです。しかし、地域の実態は小学校区くらいの小さな単位で異なります。そこで、住民や民間の視点を取り入れることで、地域の実情に合った課題解決が可能になります。

例えば、人手不足で縮小が進む公共交通。これを行政だけで解決するのは困難です。しかし、「移動インフラの再設計」という視点で、住民と企業、行政が協力し、相乗りサービスや最適な配車システムを共同で開発すれば、解決の糸口が見えてきます。

地域活動への参加の第一歩は「知る・気づく」ことから

小柴さんの講演で特に印象的だったのは、「地域活動への参加の入口は多様に」というメッセージでした。

「地域のために何かしたい」と思っても、いきなり大きな役割を担うのはハードルが高いものです。まずは「読む」「寄付する」「単発で参加する」など、多様な関わり方があることを知ることが大切です。

また、市民を「当事者」にすることで、自治体の活動に参加を促す方法もあります。市民同士の取り組み、例えば自治会のイベントにおいて、若い世代が参加してくれず、コミュニケーションが取れないという悩みは珍しくありません。実際に小柴さんの地域でもそのような課題があったそうです。そこで見出したのが、イベントの予算と裁量を若い世代に任せ、イベント開催の主体になってもらう、という解決策でした。任された若い世代はしっかりとイベントの準備を行い、そして主催している若い市民につられて参加者にも若い世代が増えたそうです。

今まで地域のことには関わりのなかった人も、地域活動の当事者になれば、地域の一員としての自覚が芽生えます。小柴さんの体験談から、さまざまな形での地域活動への参加方法を共有していただきました。

「自分たちのまちは、私たちで良くする」

小柴さんは、地域課題に立ち向かうため、地域の助け合いの哲学「お互いさま」を取り戻す必要がある、と語ります。そして、地域のつながりの核は守りつつ、方法は柔軟に、と。

最後に、小柴さんは「Nothing about us, without us(私たち抜きで、私たちのことを決めるな)」というメッセージを投げかけられました。これは、「意思決定に住民が主体的に関わること」こそが、地域力を高める鍵だという強いメッセージです。

市民からの質問に答える

講演後には、参加者の皆さんから多くの質問が寄せられました。その中から2つの質問をピックアップし、小柴さんの回答を紹介します。

質問1:地域のことを手伝ってくれる人は、どのように見つけたら良いでしょうか?

小柴さんは、まず地域活動を支える人々の高齢化という現状を認識した上で、若い世代に「遠慮せず、積極的に、そして具体的に声をかけること」が重要だと答えました。実際に「〜をやってみない?」と直接、そして具体的に頼んでみたら、意外と参加してくれたという経験があったそうです。ある福知山市民の方も、「女性消防団に入ってみませんか?」と近所の方に声かけを行ったことで、女性消防団に参加してくれたという経験を共有してくれました。

質問2:古くからの住人と、新しく引っ越してきた大学生との間に関わりがなく、どうコミュニケーションをとれば良いでしょうか?

この質問に対し、小柴さんは「つながりを求めていないように見える人たちも、異なる機会を通じてつながりを感じることがある」と説明しました。特に効果的なのが、「災害時の避難所情報などを通じて自治会の重要性を伝えること」です。実際に、災害時に自治会の必要性を感じた若者が加入した事例もあるそうで、こうした「いざという時」のつながりから、日常のコミュニケーションが生まれる可能性を示唆しました。


安岡さんご講演

(安岡さんの講演資料はこちらから閲覧できます:https://drive.google.com/file/d/1jkJG-Ht58znEuqCCX0k7M6Wi72b9TEex/view?usp=sharing

安岡さんには、ご自身の豊富な経験から、「人口減少社会における地域の課題解決とデジタル化の役割」について、具体的な事例を交えながらお話しいただきました。

「人口をどう増やすか」より「何を守り、何を変えるか」

人口減少は、もはや避けては通れない現実です。安岡さんは、この時代の課題設定を根本から見直す必要があると指摘されました。

「どうすれば人口を増やせるか?」ではなく、「人口減少によって何が起き、何を守り、何を見直すべきか?」という具体的な視点を持つことが大切です。税収の減少、人手不足、インフラの老朽化といった現実的な課題に目を向け、「守るべきもの」と「変えるべきもの」の優先順位を、データに基づいて市民全員で合意形成していく。それが、これからの地域づくりに不可欠なプロセスです。

デジタルで人口減少による「課題」を解決

高齢化と人手不足の進行により、従来の「人手で支える仕組み」は限界を迎えています。人口減少がもたらす課題は、防災・見守り・行政手続・移動や介護などのあらゆる分野が、人手だけでは成り立たなくなることです。その課題に安岡さんは、デジタルでアプローチをしようと考えました。

人手が足りなくなるということはつまり、介護職員や民生委員など、住民を支える人々の負担がますます増えることです。そこで、デジタル技術を「情報共有」「安否確認」「記録の簡素化」といった業務に活用し、支え手の負担を軽減することで、より人らしい温かいサービスに注力できる環境をつくることができます。

「デジタル化」と聞くと、業務の効率化や経済効果を想像しがちです。しかし、安岡さんは、その目的は「支える人を支える」ことにあり、人手不足による地域課題の解決につなげることができると述べました。

デジタルを「持つ」だけでなく「使う」!

講演の中で特に印象的だったのが、安岡さんが「デジタルは目的ではなく手段」だと強調されていたことです。

安岡さんが関わった高知県日高村では、スマートフォンを地域の基盤として普及させることに成功しました。普及率は令和5年10月時点でなんと約85%。その秘訣は、単に端末を配布するのではなく、「住民が日常で使える状態」にすることに徹底的にこだわった点にあります。戸別訪問や村内50か所以上で開いた説明会を通して、目的は単に「スマホを持たせる」ことではなく、「スマートフォン普及を通して地域を自律させる基盤づくり」であることを丁寧に伝え続けたそうです。

また、安岡さんはコストを抑えることに取り組みました。例えば、スマートフォンで使用可能な健康ポイントという、デジタル地域通貨の仕組みを作りました。これを地域店舗で使えるようにし、住民の利得と地域経済の循環を両立することで、スマートフォンを買う住民の実質負担額を大幅にカットしました。加えて、安岡さんはスマートフォン普及による費用対効果についても詳しく分析しました。例えば、今までコストが高くかかっていた防災無線の機能(情報提供など)を、スマートフォンに移行することで、行政の支出を削減できます。安岡さんはこのような費用対効果を考慮することで、全体的なコストを抑える工夫を行いました。

その結果、高齢者でも多くの人がスマホを使いこなし、防災情報や健康管理、家族とのビデオ通話など、暮らしに根差した多様な活用が定着しました。

地域の課題とデジタル化

安岡さんは市民の間で「デジタル化」「地方創生」といった言葉の認識をそろえ、なぜ取り組むのかを共有することが第一歩だと語りました。今回の講演で、私たちは、デジタル技術が単なる効率化の道具ではなく、人々の生活を豊かにし、地域を支えるための強力な手段になり得ることを学びました。その学びを踏まえて、私たちLiquitousも福知山市民と共に「デジタル化」「地方創生」について考え、市民が主体となってデジタルを活用するまちの仕組みを作っていきたいです。

市民からの質問に答える

講演後には、参加者の皆さんから多くの質問が寄せられました。その中から3つの質問をピックアップし、安岡さんの回答を紹介します。

質問1:かなり高齢の方でもスマホの普及が進んだとのことですが、具体的にどのような使い方をしているのでしょうか?

安岡さんは、デジタル地域通貨や健康アプリの利用だけでなく、YouTubeでの趣味の学習や家族とのビデオ通話など、高齢の方も多様な使い方をしていることを紹介しました。特に、コロナ禍で入院中の家族とLINEで顔を見ながら話せたことは、スマホがコミュニケーションの手段としていかに重要かを物語る事例だと述べました。

質問2:新しい取り組みには反対意見がつきものだと思います。心が折れそうになることはありませんでしたか?

安岡さんは、心が折れそうになることもあったと正直に答えつつも、「住民からの感謝の言葉や電話」が大きな支えになったと述べました。また、「反対されるのは、まだ必要性が理解されていないから」と捉え、必要としてくれる人がいることを信じながら、活動に取り組んでいると語りました。

質問3:行政からパソコンの補助金を出してほしいと思っているのですが、どのようにアプローチしたら良いでしょうか?

この質問に対し、安岡さんは「何のために必要かという公益性の説明」が重要だとアドバイスしました。公益性がないものに行政はお金を出せません。個人の利益だけでなく、商工会等、困っている事業者の声をまとめるなどして、「公益性があること」を示すことができれば、行政が補助金を検討する可能性があると述べました。

共通するメッセージ:「地域は自分ごと」

お二人の講演に共通していたのは、「地域の未来は他人任せにしない」という強いメッセージでした。

小柴さんの「Nothing about us, without us(私たち抜きで、私たちのことを決めるな)」という合言葉や、安岡さんが「反対を乗り越えられたのは、必要としてくれる人がいると信じているから」と語った言葉からは、まさに「地域を自分ごと」と捉えることの重要性を感じました。

福知山の未来を形作るのは、私たち一人ひとりのアイデアと行動です。今回の市民会議での学びを、ぜひ皆さんの日々の暮らしにも活かしていただければ幸いです。



福知山市2040年市民会議 とは

開催趣旨

人口減少・少子高齢化が進む2040年を見据え、市民とともに「これからの福知山」の課題と未来像を考えるため、「福知山市2040年市民会議」を開催。

最新の将来推計データをもとに、現状や課題を共有し、多様な市民の声を集めて、持続可能で幸せなまちづくりの方向性を探ります。

第2回開催概要

日時/会場:令和7年8月30日(土)13:30~16:30/福知山公立大学&オンライン

主催:福知山市

参加者:市内在住18歳以上から無作為抽出で案内、約50名が参加(誰でも傍聴可能)

進行:小柴さん・安岡さん講演→講演に関する質疑応答→グループ討議・意見交換(対面5グループ・オンライン1グループ)

主な内容・特徴

市が作成した「地域の未来予測」(2040年までの推計データ)をもとに、今後の課題や変化を共有。

多様な世代・立場の市民が参加し、まちの未来像や解決策について意見交換。

会議に参加できない市民も、特設サイト「2040 くらしのスケッチ」を通じて自由に意見投稿・共有が可能。

主な議論・市民の声(アンケート・オンライン投稿より)

「ゲストスピーカーのテーマを自分のこととして捉えることができた」「グループでの議論は他の地域のことが分かってありがたい」「話し合いの時間が短かった」「機材の能力不足か通信不良か、音飛びや映像飛びが多い」「ディスカッションの際、反対意見があるのは致し方ないが、言い方、伝え方を参加者に考えてほしい」「講演は予定外の内容でいい意味で意外だった」「取組に対しての効果確認を定量的(金額・時間等)の資料があればよい」など、講演の内容や進行に関する具体的な要望が多く寄せられた。

満足度は「とても良かった」「良かった」が多い一方で、テーマ設定や議論のあり方への課題感も一定数見受けられた。

主な課題

商業・観光施設の不足、子育て支援・室内遊び場の不足、公共交通の不足、公共施設の老朽化、若者流出への危機感など、現場感のある声が多数。

今後の予定

第3回は令和7年10月25日(土曜日)13:30~16:30  対面会場&オンラインにて実施

オンラインプラットフォーム「2040 くらしのスケッチ」でも随時意見募集

関連リンク

- 市民参加型オンラインプラットフォーム「2040 くらしのスケッチ」 :https://fukuchiyama-city.liqlid.jp/
- 福知山市公式サイト「福知山市2040年市民会議」:https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/soshiki/1/73433.html

福知山市

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市長公室 経営戦略課(福知山市2040年市民会議事務局)

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